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新型コロナ雑感3 出口対策について [コロナについて]

出口対策について

接触8割削減を求めた緊急事態宣言が継続され、それを解除する条件が議論されています。国の基準が曖昧なのに対して、各自治体は明確な数値基準を定めようと努力されています。また、解除後の市民生活や学校での生活にできるだけ支障を来たさず、スムーズに行く仕組みとして、新しい生活様式が提案されています。ここでは、費用のことは考えず解除の条件についていくつか考えてみることにします。解除の判断は、科学的根拠に基づき全ての市民に十分なケアーができる体制が整っていること基準にすべきだと誰もが思っていると思います。当然、緊急事態宣言が行われてから一月以上が経ちますから、政府では次のような方策に対する準備を整えられているものとは思いますが。市民が1月から政府に求めているのは、「できることは何でもやる」「スピ-ド感を持ってやる」「政府一丸となって全力を挙げて取り組んでまいりたい」「科学的根拠に基づいて決めていきたい」などの決意表明ではなく、実行だと思います。

1.全市民の抗体検査を実施すること;1番になすべきことは、市民全員の抗体検査です。ワクチンの開発にはまだ時間が掛かり、また今のところ抗体を持つ人が再感染しないという保証はないようですが、抗体をもつ市民ともたない市民を明確にすることです。この割合がある程度高いことが望まれますが、それはワクチン開発の後になるでしょう。

2.コロナ調査およびコロナ安心度の導入:次になすべきことは、抗体を持たない人の感染率調査です。医者さんが日常的に判断の基準にされているらしい陽性率は、前のブログで示したように、極めて曖昧な非科学的な量であり、指標として使うのは危険です。その代わりに、抗体を持っていなかった市民をランダムサンプリングし、PCR検査あるいは抗原検査(市民コロナ感染率調査=コロナ調査)をすれば、市中感染者率を求めることができます。理論的にはそれから発症者数が予想できますが、を精度良く求めるには、相当な数多分100万人位の調査が必要となりますから、それなら全員検査して、隔離すれば良いことになります。これも1日でやる必要がありますから色々と問題があります。1000人~10000人程度の調査で、がゼロなら一安心という程度には使うことができます。それよりも、既に専門家会議が示しているように、各都市の重症化予想数がありますから、それを用いて(許容できる患者数/予想される重症者数)によりその都市のコロナ安心度、つまり発症しても病院で見てもらえる安心度を定義します。コロナ安心度Sは、1の時に病院が一杯になるわけですから、Sをどれだけ大きくする必要があるかを考慮して閾値を決めれば、解除の判断基準になります。空きベッドの割合よりも、安心度の方が、良い基準となるでしょう。安心度に関しては、専門家の方にぜひもっと適切な定義をして頂ければと思います。決して、陽性率を解除の判断基準として使うべきではありません

3.病院、隔離・支援の仕組み:予想される感染者数を十分受け入れられる、病院、隔離・支援の仕組みが構築できている。

4.公共スペースの消毒体制:公共の乗り物を含め、公共スペースの常時の消毒を徹底する体制を作る。例えば、電車やバスは、一定時間ごとに消毒し、繁華街、エレベーター、エスカレーターなども一定時間毎に消毒する。

5.各家庭の防ウイルス支援:各家庭に定期的にアルコール、マスク(アベノマスクより大きいほうが良い)を配れるようにする。

6.失職した人の雇用:上記3,4,5で新たに必要となった業務を行う組織を作り、コロナ対策で失職した人を雇用し、支援事業を行う。

これらの取り組は既にいくつかの自治体で行われているところですが、全国規模の連携があればより効率のよい仕組みが作れるものと思います。緊急事態宣言の解除には、これら六つの条件(さらに必要な条件を加えて)をレーダー図にすれば判断しやすいことと思います。

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新型コロナ雑感2 科学的な根拠について [コロナについて]

科学的な根拠について
新型コロナ対策として、実際に報告されている数値と関連づけて、様々な関係が議論されています。ここでは、これまで用いられていると推測される方法や提案されている指針などを検討してみます。いくつかの例は、研究の倫理規程にあっておらず、このような非科学的主張によって政策が決められないように、一人の科学者として切に思います。
1.実効再生産数:実効再生産数は、新規感染者が増加する割合と除去(治癒するか隔離)される割合の割り算で定義されます。未感染者数を人口全部とするか、人口から感染した人と治った人の数を引いたものにするかで少し値は変わりますが、感染症蔓延の初期ではあまり差はありません。この比が1より大きいと感染が拡大し、1より小さいと感染は収束します。よくテレビなどでは、一人の感染者が何人の人に感染するかを表す数字と説明されていますが、1日で感染させる数なのか1週間で感染させる数なのか疑問に思われて、もやもや感が増えるものと思います。答えは、感染者が感染させなくなるまでの時間の間にということです。接触8割削減というのは、分子の新規感染者数を小さくしようというものです。普通のインフルエンザの場合、自宅待機の隔離と薬による治療により、分母を大きくして、有効再生産数を1より小さくする方法が採られています。新型コロナウイルスの場合、市中にいる無症状感染者の感染力がなくなる期間が問題になりますが、その値は今のところはっきりしません。論文等は、この日数を30日とした結果を示していますが、15日にすると少し図はずれます。その場合、2倍の隔離率で5割行動削減で1/10になるまで18日くらい、現在の検査率で都市封鎖するのと同じくらいになります。実効再生産数の定義の分母に入っている隔離率を大きくすると、当然実効再生産数が小さくなり、収束が早まるというのが論文の一つの結論です。メディアでは取り上げていませんが、仮に隔離率を観測データから見積もれれば、その日の隔離された人の数(陽性者)を隔離率で割ったものが市中感染者数となります。隔離率が0.2だと5倍、0.1だと10倍、0.5だと20倍、と見積もることができます。これまでのSIRを用いたモデルでは、日々観測できる隔離者数をあらわに取り扱ってきませんでしたから、そのまま用いると、新型コロナの感染の様子を理解するのに苦労することになります。

2.陽性率:東京都の定義によると、陽性率=陽性者数/検査数です。これは割合の問題ですから、小学生でも習うことだと思います。例えば、黒と白との碁石を50個ずつ持ってきて、よく混ぜたあと目をつむって10個取り出すと、多分白黒半々位になっていることが多く、何回かの平均を取ると黒の割合は50%になります。一方黒が多いような取り方をすれば、当然黒の割合が増えますが、全体の中の黒の割合もそのように大きいと結論づけると、多分先生からよく考えなさいと言われます。つまり検査の対象とした集団(母集団とよびます)の取り方で、陽性率はいくらにでもなりますから、陽性率はむしろ母集団の選び方の特徴を表しているに過ぎません。検査による隔離の効率を上げるには、お医者さんからできるだけ陽性者らしい人を選んでもらい、検査場に送ってもらいます。この時陽性率が高いと、医者の見立てがよく、隔離の効率が上がります。陽性率が低いと、市中の感染者の割合は低いか、医者の見立てが悪いか分からなくなります。現在、陽性率から市中感染率=(自治体内の無症状者の数)/(自治体の人口)が推定できているのか、陽性率の低さを自粛解除の判断基準の一つにされかけています。この推定の科学的根拠を是非明らかにしてほしいと思います。陽性率を判断基準とするのは大変危険です。このように科学的根拠のない仮定で論文を書くと、即座に掲載不可になるでしょう。最近あるクリニックの先生が、来院した人を検査すると、陽性者がだんだんと減ってきて、今はゼロになっていると、その医院の陽性率を説明していました。これは、来院されるような症状を持った人の中には感染者はいないことを示すに過ぎません。現在問題になっているのは、市中にどれくらい無症状感染者がいるかということであり、病院に来られた人の陽性率と市中感染率の隔たりは、かなり大きいでしょう。まだ余裕のあるPCR検査あるいは抗原検査を用いて、サンプリング検査(新型コロナ感染率調査~コロナ調査)をやり、その結果と1.の方法による推定値の比較から、市中感染率を求めるべきと思います。

私のかかりつけの医者に、市中の感染率はどう見積もるのかを聞いてみました。その先生も最初は、「来院した患者の中の感染者数の割合(陽性率)で見積もる」と言われました。そこで、現在問題になっているのは、「市中無症状者の割合(市中感染率)ですよね」と問いかけると、「あっそうか、それはわからないな」と気づかれました。つまり、お医者さんは普通のインフルエンザの時のように、来院者に対する感染者の割合(その医院での陽性率)で、感染率が見積もれるという考え方が染みこんでいるようです。医者同士の会議の中でそれに異を唱えられる人がいれば良いのですが。

3.陽性率と重症化率の相関およびコロナ死亡者数と検査数の相関について:公的に発表されるデータは、日ごと陽性者数(隔離者数)、PCR検査数、陽性率、重症化率、退院者数位です。これらのデータの時間変化を見て、何らかの関係があると考えてデータを整理するのは、一つの科学的手法ですが、その場合その相関があると考える科学的根拠を示すべきでしょう。最近陽性率と重症化率に、前者が増えると後者も増えるという相関があり、重症化率を下げるには、検査を増やして陽性率を低くする方が良いという考え方がテレビで放映されています。多分重症化率は、重症化した人の数を隔離されている人数で割った割合と思われます。この場合、大切なのは、分子を小さくするように重症者をださない治療が必要であり、この割合を小さく見せるために分母を大きくしても全く意味はありません。もちろん隔離率を上げるために検査数を増やすのは大切な方策です。また、あるテレビ番組でコロナによる死者数は、検査数が多いほど多くなる傾向があり、ヨーロッパは他国の傾向よりさらに上にあるので、検査数を増やされた方が良い、日本は他国と同じくらいだから問題は少ないという主張をされていました。これは、検査数を増やすと死因がコロナと特定できた人の数が増えただけで、何の価値もない相関の見方です。権威のある大学の教授が言えば、市民の方は惑わされるかもしれませんが、このような相関を示す論文を書けば、即却下になります。また、そのような非科学的主張をテレビで放送するなら、テレビ局の科学的見識の欠如を疑います。

4.ヨーロッパ産のウイルス:ウイルスのRNAを調べると、日本では、初期の中国から来たウイルスによる感染は収束し、最近はヨーロッパから来たウイルスにより感染に変わっているという報告がありました。それにより、初期の感染が完全にコントロールできたと主張されています。この報告が論文として投稿されれば、多分もっと調査して論拠を明確にするように求められることと思います。12月から1月にかけて、中国からの訪問者がまだ多く、その間に無症状のまま感染させていた可能性がないことの証明、またクラスター対策で漏れがなかったことの証明が求められるでしょう。たまたま日本にいたウイルスが変異して、ヨーロッパ型に近いものになっていた可能性の否定も求められることでしょう。

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新型コロナ雑感1 政策について [雑感]

新型コロナ問題についての論文がメディアでも取り上げられています。論文の「市中の感染者を速く隔離することが重要」という主旨を理解せずに取り上げているメディアは、仮に計算した数値のみを示すだけになってしまい、私の提案を一般の方々に理解して頂くことの難しさを痛感しているところです。

私も含め市民の中には、政府の対策や行動自粛の科学的根拠などについて、もやもや感が拭えず、不安や不満をお持ちの方が多いと思います。先日来、1.政策のこと、2.科学的根拠のこと、3.出口戦略のことについて考えていたことを三つのブログとして記しておきます。これらのブログが、皆さんのもやもや感を少しでも拭えればと思います。

政策について

1.安部首相の「新規感染者が退院数を下回れば良い」発言について;発言の科学的根拠やそれぞれの単語の意味が分からないですが、普通考えられているように、前者は日々陽性者の数、後者は報道されている退院者の数としますと、安倍首相の発言は、入院中の感染者の数が減っていく傾向にあれば、つまり医療崩壊に向かっていなければ良いと理解できます。一方、大切なのは市中感染者がどれだけ増え、今いる市中感染者が毎日どれだけ感染力を持たなくなるか、どれだけ隔離されるかです。前者が後者二つの和を下回れば、市中感染者が減っていくはずです。今のところ無症状者を治療するわけにはいきませんから、政策としてできるのは、ちゃんとした仕組みを作って隔離を増やすことと、市民は感染しないように行動を自粛することが必要になります。病院の空きベッド数がだんだんと増えていけば、解除の条件になる、のは、大事ですが、市中感染者の減少の傾向を見ること無しに政策が決定されるのであれば、レッドカードを出したいと思います。

2.1-3月の対応と新年度予算:新型コロナウイルスのことは12月には分かっていましたが、政府は緊急事態宣言前に予算を通してしまいました。市民は、宣言後に不要・不急の行動や旅行をしないことが要請されましたが、この予算の中の不要・不急の事業を仕分けによって執行猶予し、緊急事態の対策費に充てるべきだと思います。国全体がOneTeamとしてこの事態に対応するためには、ぜひ野党に「事業仕分け」をやってもらえればと思います。

3.検査体制について:初期のPCR検査体制は、かなり制限的であり、症状があってもななか検査されませんでした。高熱が4日間続くまで、検査の相談もできず、相談しても武漢や湖北省と関係がないと検査されないという期間が長く続きました。この検査体制は、もちろん検査のキャパシティや隔離先のベッド数・医者の数などを考慮して取られたものでしょうが、本来は逆に、感染症に指定した政令を早期に改訂し、軽症・中症・重症者に対する隔離の仕組みを、場所、自宅待機者への支援方法を含めて、整えておくべきであったと思います。12月から1月にかけては中国からの観光客も多かったので、無症状の感染者が広がっていたいう疑いはぬぐえません。

4.政府の対策の科学的根拠:検査体制や行動自粛に対して、根拠なく数値が示されてきたのが、市民のいらいらの一つの原因だと思います。数値目標を示すなら、その根拠を明確にしないと誤解が生じます。例えば、行動8割自粛すればよいのであれば、会社に行かないので、近くの商店街やホームセンターに短時間出かけるだけなら8割自粛達成と言うことになりかねません。会社では個室にいる人が商店街を歩き回れば、接触機会はかえって増えるかもしれません。主要な駅の混み具合だけを見ても各個人の接触機会の減少の尺度にはならないと思います。

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