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福岡工業大学でコロナに関する講演をしました(ハイブリッド) [コロナについて]

5月27日に、福岡工業大学の土曜談話会で「COVID-19の究極の感染症モデル」の講演を行いました。これまでの研究の総まとめと日本のコロナ対策の評価を行いました。講演の資料をホームページで公開しましたので、ご覧になってください。日毎陽性者数が報告されず、1週間毎に5000地点での患者数の平均値のみが報告されており、先週には全国で1日あたり約15000人の新規感染者だったと推定され、先々週よりかなり増加しています。十分気をつけて行動した方が良さそうです。

令和5年度科研費採択 [研究]

2023年度科学研究費補助金 研究成果公開促進費(学術図書)に、「エッセンシャル統計力学」の電子図書化計画が採択されました。
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 「エッセンシャル統計力学」(裳華房)は、バーチャルラボラトリーの付随した「初等統計力学」の教科書として、広く用いられています。タブレット端末でも閲読が可能なように、バーチャルラボラトリーをJava Script で再構築することを中心に、ICT教育にふさわしい電子図書化を進めています。本書のコンセプト(インタラクティブなバーチャルボラトリーと外部情報へのリンク)は、ICT時代の初等、中等、高等教育における理系図書の標準型となるものです。7月初旬には公開できるよう、準備を進めています。
なお、コロナ禍で研究期間が延長されていた科研費(基盤研究C)は、今年度までとなります。

COVID-19:新たな段階へ(最後の分析と日本の対策の検証) [コロナについて]

5月5日にWHOが、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了し、日本でも5月8日から新型コロナ感染症の分類が第5類(インフルエンザと同じ扱い)に変更され、今後感染状況に関するデータが得られなくなるので、この3年間行ってきた日本の感染状況の分析もこの報告で一応終わりとなる。一応の区切りとして、最終分析結果の報告と日本におけるさまざまな対策の検証を行うこととする。
Japan8-9waves.png 左図は、昨年10月に始まった第8波と今年4月最初から始まっている第9波の新規感染者数の変化と、各波の感染状況図(横軸のスケールの違いに注意)である。現状は、2021年の夏ころと似ており、非常にゆっくりと変化しながらも、4月以後増加傾向にあり、第9波に入っているとみられる。すでに人々の行動様式が変化し、また連休明けからさらに行動が自由になると思われ、感染者数は確実に増加すると考えられるが、データがとられなくなるため、判断のしようがなくなる。幸い流行している変異体はそれほど重症化させないようであり、また感染者や感染しても無症状で終わった人が相当数いると推定されるので、爆発的な感染は抑えられるものと考えられる。
日本検証.pngこの3年間、政府は様々な対策を行ってきたが、SIR モデルという不適切なモデルによる不十分な解析しか行われず、的はずれの対策が多かった。さらに、メディアの取り上げ方や海外情報の発信が、政府に忖度したものが多く、コメンテーターや素人のはずのタレントや一般人までもがヒステリックにその後押しをしていた。例えば、根拠のないデータでPCR検査に反対していた人々が、PCR検査より精度の劣る抗原検査には沈黙していたことは、彼らの主張が政府の方針を後押しするだけのものであったことを物語っている。オリンピックのころには、感染者数を少なく見せるためのデータの恣意的な発表が行われたりもした。新型コロナ感染症は、①発症前の感染者、無症状の感染者も感染力をもつ、②発症者は、死に至る重篤な患者から無症状で終わるものまで幅広い、③後遺症が長期間に渡り存在する人が多いなど、インフルエンザとは異なった特徴があることが知られているが、第5類への移行の根拠が示されていない。表に、不適切であった対策とその評価をまとめておく。
 東日本大震災・福島の原発事故、そしてコロナ禍を経験した今、日本は「観光立国」という後進国ではなく、「食糧・エネルギー」を自給できる自立した国に改造・再建することを目指すときであろう。