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コロナ新規感染者20万人超の爆発! [コロナについて]

日本の新型コロナ感染症の新規感染者の数が昨日200870人になり、20万人を超えました。1昨年来、「日本人はかかりにくい」「日本の対策は機能している」という発言が、しばしばテレビなどで見られましたが、そうではないことがよく分かります。注意しなければならないのは、市中にいる感染力を持つ発症前の感染者と無症状感染者の総数は、日毎陽性者の10倍以上であるということです。従って、感染者数が増加に転じたら、個々の市民が他の人との接触をできるだけ避ける行動を取ることと共に、発症した感染者だけでなく、症状を示していない感染者をPCR検査で見つけ出し、検査で陰性となるまで隔離(自宅待機)することが重要な対策となります。ところが政府や一部自治体の現時点での対策は、「行動制限は求めない」「発症していない人の検査は行わない」などと全く逆行しています。すでに、何度か述べていますが、「少人数、短時間、よく知っている人とのみ」の会合でも、感染者がいれば、感染は広がります。さらに、現在のワクチンは、変異体の感染防止にはほとんど効果がないようですから、ワクチン接種者も行動制限を緩めるべきではありません。過去最大の新規感染者数になっている中で、行動制限を求めない政府の方針から、「3年ぶりの制限のない夏」の人出による感染拡大が危惧されます。
IS22-7-22.png 市販の治療薬が開発されない限り、感染者が増えると医療体制が逼迫することになり、また強い後遺症で社会活動ができなくなる人が増加して、多大な社会的損失が生じます。政府の専門家会議や分科会の人々は、この2年間何をやってきたのでしょうか。
左の図に、7月22日までの感染状況を示します。増加率は1月の初期に比べてやや小さいですが、1月後半よりは大きくなっており、爆発的に増加していることが分かります。

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新しいランダムウォークの論文が公開 [研究]

 新しいランダムウォークの論文「Variable range random walk」が公開されました。ランダムウォークは大変汎用性の高い動的過程で、物理現象だけでなく社会現象、経済現象、情報拡散の解析などに幅広く応用されています。通常ランダムウォークは、一定の歩幅で格子上あるいは連続空間内を移動するものを考え、平均2乗変位や元に戻るまでの時間などが興味の中心となります。歩く歩幅に分布がある場合なども研究されています。
 最近のFireChat やBridgefy などのソフトウエアでは、基地局を通さずに、近くのスマホのみ介して情報が伝達されます。つまり、近隣にあるスマホ同士が互いにつながり、大きなネットワーク(メッシュネットワーク)となり、その上を情報が伝達されます。情報をランダムウォークするものと見ますと、様々な歩幅のランダムウォークをすることになります。このランダムウォークは、スマホが固定されていますと、ホッピング伝導で用いられたものと同様の過程ですが、その場合に様々な伝達能力の距離依存性について、拡散係数の特徴を明らかにしました。今後、より現実の系に近い形に一般化して、研究する予定です。
または
よりダウンロードできます。

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山元春挙の「法塵一掃」と科学研究 [雑感]

明治から大正・昭和にかけて活躍した日本画家山元春挙の若い頃の代表作に「法塵一掃」がある。唐の禅僧周金剛が「経典は法の塵にすぎず、禅の悟りに不要であるとして、経典を焼き捨てた」という逸話を画題としたものである。描かれた僧の表情、衣、経典から上がる煙の描写は、極めて精緻ですばらしい。
 この絵を描いた頃に山元春挙が持っていた絵画制作に対する考えは、黒田天外の「名家歴訪録 中編」(1901)から知ることができる。原文のまま記すと
・一つの畫を描かふと思ひ、種々と工夫を凝してゐる間は頗る苦心惨澹ですが、其間に興趣が坌涌して氣乗がして來ると、もうぢっとしてゐられんことになる。而していざ筆を下ろすといふ際になっては、所詮無我で一物の胸中に蟠まる處なく、只筆に任せて描く。(108ページ)
・心酔したからとて包含咀嚼の力あるものはいつか脱化するので、一時の心酔は或る新境を拓く他日の動機になるであろふと思ひます。(109ページ)
・古人がこしらへて置いたよい形式は飽くまで學ばねばならんので、學んで之を自己に點化し、而して之を忘れる境界に到らねばならぬ。(110ページ)
 科学の研究は、それまでの知見の蓄積の上に発展するものであるが、従来の教科書を金科玉条のごとく信奉するなら新しい発見は生じ得ない。新たな発展のためには、法塵一掃のごとく、教科書や論文は批判的に読み、「読み捨てる」ことが肝要である。また、自然現象を理解しようとするとき、「あるときは分子になり、またあるときは波になって」、その現象の素を想像し、その想像の中から本質を見いだすことができれば、理論はほとばしり出てくる。この過程は、芸術や文学の製作・執筆と科学研究の創造力の源として揆を一にする


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日本の新型コロナ感染状況7月6日 [コロナについて]

すでに新聞・テレビなどで報道されていますが、日本のCOVID-19は第6波が十分収まらないところでの行動制限緩和が行われて、次の波に向かっているように見えます。左に示します感染状況図を見ますと、(5月から6月にかJapanStatus2022-7-06.pngけての小さな山を波と見なさないことにします)第7派が始まっていると考えられます。これは、政府の行動制限緩和政策、ワクチンで感染が防げるという誤った情報の発信、誤ったコロナ対策および相変わらずの貧弱な検査体制によるところが多いと思います。実際、新規感染者の中のワクチン未接種者の割合は、全体の未接種者の割合と同程度のようで、現在のワクチンは感染防止に役立っていないようです。テレビでの専門家の最近の発言では、「重症化予防効果」だけが強調されています。このまま延長しますと7月23日に175000人になります。
Infec.vs.tFor_q'ssmall.png5月3日及び5月4日のブログに書きましたように、ウイルスが自滅しないならば、無症状の感染者に対する対策を行わない限り感染をコントロールできません。
  現在、無症状者を分けた感染症の新しいコンパートメントモデルの研究をしています。その予備的計算の結果によりますと、左中の図に示しますように発症以前の感染者と無症状感染者に対するPCR検査による隔離率 q により、市中の感染力をもつ感染者数の割合(図の縦軸:横軸は時間)は大きく変わります。q=0 は対策なし、q=0.1は10日に1度の検査、q=0.2は5日に1度の検査を意味します。当然のことながらこの隔離率が大きいほど感染は抑えられます。中国で行われているゼロコロナ政策では、1人でも感染者が出た地域を封鎖して、無症状者を含む感染者を徹底的に隔離する措置がとられています。日本はウィズコロナ政策ですが、その中
Infec.vs.tFor_b's.pngでも人々の接触機会を減らす対策と、発症以前の感染者および無症状感染者に対する対策を行わない限り、感染を収束させることはできないと思います。
  発症以前の感染者および無症状感染者に対する対策をせず、行動制限のみの対策が行われた場合の結果も示しておきます。左下図は、行動制限がない場合の感染係数がβ=0.4 を基準にして、行動制限による接触機会の減少が25% の場合(β=0.3)および50%の場合(β=0.2)について、市中の感染力を持つ感染者数の時間変化を示したものです。これらの図を比較すれば、無症状者の検査・隔離が、行動制限よりも感染者数を減らす効果が大きいことが分かります。

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