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分科会の示した指標の根拠は? [コロナについて]

政府の分科会は、感染状況を4つのステージに分類し、どのステージにあるかの判断のための指標を示したが、市民が最も知りたがっている科学的根拠は曖昧なままである。具体的な数値も示されているが、それが大きいのか小さいのか、極めて感覚的であり、示された数値を超えると何故危険なのかの科学的根拠を明確にすべきであろう。

「病床の逼迫度」「療養者数」の指標の比較すべき数値は、前者は予想される入院者数、後者は自治体が支援できる療養者数であるべきで、一律に決められるものではない。また、入院者数や療養者数のピークは、新規感染者数のピークより2週間ほど遅れて現れることも考慮されるべきであろう。

「PCR検査の陽性率が10%」が1つの指標とされている。以前のブログでも述べているが、陽性率は、検査対象者の選び方によって、どのような数字にもなり得る。誰でも自由に受けられる検査体制であれば、ランダムサンプリングに近く、陽性率を市中感染率と見なせよう。検査体制は自治体毎に異なっており、陽性率を指標にするなら、どのような検査体制の場合の10%なのかを明確に示す必要があろう。

「新規感染者数は1週間で10万人当たり15人以上」も指標になっているが、市中の新規感染者数のことなのか新規陽性者数のことなのか不明である。本来前者を指標にすべきであるから、文字通り新規感染者数を指標とするなら、日々観測されるデータからどのように新規感染者を見積もるのかを示す必要がある。また、後者なら、陽性者数は検査の仕方に強く依存しており、検査数を減らせば陽性者数も減ることになるから、検査体制の基準を示さない限り感染状況の指標にはなり得ない。

「直近1週間の感染者数が前の週よりも多いこと」も指標に上げられている。これは、陽性者数の増加率が正であるか負であるか(実効再生産数が1より大きいか小さいか)を尺度としているものと考えられるが、感染曲線の時間依存性を見ると、収束する前には増加率が減少に転じる期間があり、増加率の正負だけでなく、増加率の変化率を考慮に入れる必要がある。

「感染経路不明者の割合が50%」も1つの指標とされている。感染経路不明者を徹底的に減らす必要があるが、その対策は考えられているのか?また、かなりの数の陽性者が出た場合、各自治体で感染経路の分かっている人の接触者を追跡できるスタッフが十分に確保できていなければ、この指標は意味をなさない。

分科会では、科学的知見・根拠と論理的考察に基づいた議論から指標を考えて頂きたいものだ。

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分科会の議論の科学的根拠は? [コロナについて]

新しくなった政府の分科会から発信されているコロナ対策の考え方は、その科学的根拠がますます不透明なものになっている。分科会は、今なお3月頃の専門家会議のSIRモデルによるシミュレーション結果を拠り所にしているらしく、会長は「接触を8割減らせば収束させられるが、今は。。。」と発言されており、徹底した検査/隔離という政策は、収束させるための対策とは考えていないように見える。また、分科会会員から「ニューヨーク州の感染収束は、多くの人が感染したからだ」という発言があり、ニューヨーク州で実施している徹底した検査/隔離は収束とは関係ないかの認識であった。この認識の根拠を示されなかったが、SIRモデルあるいはSIQRモデルで、感染者が増えて感染が収束するのは、感染率、隔離率、治癒率の値にも依るが、感染者数が少なくとも全人口の50%、普通は80%くらいになってからである。ニューヨーク州の感染率は、8月6日現在約2.2%であり、感染の蔓延による収束とはほど遠いと考えられるが、分科会がニューヨーク州の収束の理由を説明する新しいモデルを使っているなら、是非公表してほしい。

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