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汚染水海中放出と脱炭素 [オピニオン]

コロナ禍で人々の関心がコロナに向かっている中で、政府はこの春に二つの見逃す事のできない決定をしました。福島の原発事故後たまり続ける放射性汚染水を海中放出することと、2030年に向けて温室効果ガスの46%(2013年比)削減を行うというものです。
 汚染水は、放射性物質のトリチウム(T)を含んでおり、放出しても良いという根拠として、多くの原発ですでに放出されていること、国際基準以下の濃度に薄めること、自然界に存在することを挙げています。自然界に存在する以上にTを増やした場合、長期的にどのような問題が生じるかという科学的問題は、「科学的に答えることの出来ない」典型的なトランスサイエンスの問題であり、国際基準はその疑問に答えるものではありません。放出される汚染水のTの濃度が問題ではなく、現存する量をどれだけ増すかという量そのものが問題であり、自然界にあるから放出しても良いという事はあり得ません。実際、温室効果ガスは、産業革命以後どんどん放出されるようになりました。当初は「二酸化炭素は自然界にあるから問題ない」と信じられていましたが、100年後の今不可逆的な変化を引き起こすまでになっています。三重水 T2Oは水と同程度には電離し、容易に他のHと置き換わることは否定できませんから、Tが完全除去できるまでは汚染水を放出すべきではありません。
 多くの生物が共存する地球環境は、太陽エネルギーを唯一のエネルギー源として進化してきたものです。その過程で地下に埋蔵された化石燃料を産業革命以後大量に用いるようになったことから温室効果ガス問題が生じています。温室効果ガス削減の取り組は、「脱炭素」ではなく「脱化石燃料」であるべきであり、それは地球環境を太陽が存在する限り、持続させる取り組みでなければなりません。原子力発電は、現代人が抱えた未来への大きな「負の遺産」であり、「脱炭素」の掛け声の裏で、原子力発電が推進されることがあってはなりません。すでに、論考「太陽エネルギー循環社会を目指そう」で指摘していますように、太陽エネルギーは最も効率よく利用されなければなりません。最近、多くの農地や丘陵地でメガソーラーを見かけますが、これらの土地の内多くは、なお植物が育つ場所であり、メガソーラー設置による森林破壊や農地の不毛化は即やめるべきです。少なくとも、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)などでの活用が必須です。太陽エネルギーは、食料、材料となる植物を通して最大限利用されるべきです。

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