市中感染者は日々陽性者数の10倍!!分科会は大丈夫か? [コロナについて]
先日、分科会尾身会長から、「市中感染者数は日毎の陽性者数よりやや多いと思われる」という曖昧な発言がありましたが、知っていて隠しているのか、知るすべをもたないのか、大変不思議に思いました。コロナが日本に入ってきてから20ヶ月が経過し、日本や世界のデータから多くの知識が蓄積されています。これらの情報から、科学的・論理的思考というほどのこともなく、単純な割合の意味を利用して、様々な推定が行えます。
コロナの感染者で発症する人の割合(x)は、~75%ということが分かっています。ある日に陽性者数がNであれば、その人達と同じ日に感染した人の総数(ここでは揺らぎを無視します)はN/x=(4/3)N, つまり陽性者数の1.33倍であり、その内無症状の人は((1-x)/x)N=(1/3)N だけいることになります。この人たち以外に市中には、それまでに感染して、無症状のままでなお感染させている人がいます。感染力が無くなるまでの期間(d1)の間の人は、N が余り変わらなかったとすると、d1*((1-x)/x)*N だけいることになります。この期間は、5~7日でしょうから、少ない方を用いると(5/3)N になります。さらに市中には、検査/隔離される前のある期間(d0) の間の感染力を持つ感染者がいます。その数はおよそd0*(4/3)*N と推定できます。この期間は3~7日程度でしょうから、小さい方を用いると、4N になります。両者を合わせると、4N+(5/3)N=(17/3)N~5.7N になります。d0, d1 として、長い方を用いると、その数は(35/3)N~11.7N となります。つまり、日々発表される陽性者数の6倍から12倍の感染力をもつ感染者が市中にいることになります。陽性者数が増加傾向にあるときや減少傾向にあるときは、少し値は変わりますが、やはり陽性者数の10倍前後の感染力を持つ市中感染者がいると考えてよいでしょう。この値は、昨年5月に発表した論文で示した推定値と一致しています。
この考え方は、2021-07-28のブログに示した論文の基礎になっているものですが、単純な割合の性質と感染力を持つ期間の情報に基づいた推論ですので、割合が分かる中学生でも理解できるものと思います。
この推論は、分科会に参加されている専門家であれば当然できるはずですので、あまりにも感染者数が多くなるから、結果の公表を控えているとしか思えませんが、それがかえって市民の不安を募らせていると思います。
このような推論をやらず、「やや多い」という発言をしているだけならば、分科会、そしてそのような専門家を呼び集めている政府の責任は重大です。
2021-08-23 18:34
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