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九州大学伊都キャンパス完成記念式典 [オピニオン]

2018929日に九大椎木講堂で開催された九州大学伊都キャンパス記念式典は、九州大学の福岡市東区箱崎地区から西区元岡地区への移転の本質を見事に示すものであった。一応招待状を頂いての出席であったが、元学部長などは一般参加者と同等の扱いであり、招待者席の大半は政治家、地元大企業の代表、地元行政の長、いくつかの他大学学長であった。麻生太郎大臣を始め多くの方の挨拶では、「272ha の日本最大規模のキャンパス」「27年にわたる移転の大事業」が称えられ、箱崎ではなく伊都に「新しい学問の府」を作ることの意義・必然性はほとんど聞かれなかった。また、現場の先生や学生からの歓迎あるいは決意の表明は聞かれなかった。式典の後に開かれた立食式パーティーの最初に行われた「鏡開き」の木槌を持った人は30人、学長、元学長を除くその大部分が地元出身の国会議員であったのには驚いた。結局の所、この移転事業は「移転すること」をできるだけ大規模に行い、国費によって地元の経済が潤うことが主要な目的であり、それが達成されたことのお祝いの会のように思えた。当初計画されていた市の中心とキャンパスを結ぶ新交通システムがいつできるのかは全く不明だが、現場の先生・職員の方々と学生・院生が、今後このキャンパスを学問の府として育てていってくれることを願うだけである。


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