SSブログ

緊急提言「日本グリーンゾーン化戦略」 [コロナについて]

私の知人らが中心となってコロナに対する「日本グリーンゾーン化戦略」の緊急提言が行われます。内容は私の提言とほぼ同じです。下記のサイトで賛同者が募られています。
また、記者会見がオンラインで27日13:00に行われる予定だそうです。
以下で見えるはずです。
=>ビデオ公開になりました。ビデオは、 で配信されています。

nice!(0) 

日本物理学会2021年秋季大会 [学会]

9月20~23日に、日本物理学会秋季大会がオンラインで開催されています。昨日の午前に「FEL描像とAdma-Gibbs仮説」というタイトルで講演しました。これまで明確な物理的根拠がなかったにもかかわらず、よく用いられてきたAdam-Gibbsの式について、自由エネルギーランドスケープ描像に基づいて、明確な定義を与え、物理的議論によってその根拠を与えました。この知見はガラス転移などの研究に今後極めて重要な働きをするものと思います。
 昨年度以来の経験から、オンラインの学会は順調に運営されているように見えます。ポスターセッションも、そのポスターに集まった人が一緒に議論できるようになっており、アメリカの学会よりも進歩していると思います。各セッションでの議論の迫力は無いのですが、別のセッションへの移動がボタンクリックだけでできますので、パラレルセッションの場合は結構便利です。学会やグループ討論に利用されているzoom 等の進歩は、コロナ禍における数少ないプラス部分と思います。

nice!(0) 

宣言解除の条件ー第6波を起こさないために [コロナについて]

主要な都市圏をもつ都道府県の緊急事態宣言が延長される中で、政府は宣言中でも行動制限をある程度緩和することを議論し始めました。コロナの実相を完全に理解しているとは思えない政府が立てる選挙目当ての対策は、注視する必要があります。この1年9か月の経験から、コロナは「発症前の感染者、発症しない無症状者 が感染力を持つ」ということがわかってきました。したがって、無症状の感染者を見つけて隔離することが第1の蔓延防止のための対策であり、世界の常識になっています。実際、それを実践している国がコロナを収束させており、それが「ゼロコロナ」と言われている状態ですが、「ウイズコロナ」というのも、どれだけ日々の感染者を許すかに違いがあるだけで、基本は変わらないはずです(時折出てくる重症者だけ対応するウイズコロナ政策は、議論の対象にもなりません)。 経口の治療薬が開発されるまでは、感染している人を確実に隔離して、かつ日々の陽性者数を各都道府県でコントロールできる範囲に抑える必要があります。分科会がよく尺度として挙げる10万人あたり何人という数字ではなく、論理的に考えればすぐわかる指標を考えるべきです。当たり前のことですが、各都道府県で、
  現有普通コロナ用ベッド数 > 日々陽性者数×中等症になる割合×平均入院日数
  現有重症者コロナ用ベッド数 > 日々陽性者数×重症になる割合×平均入院日数
を満たす必要があります。左辺のベッド数は、医師・看護士が対応できる数であり、さらに右辺には3~5割のリスクヘッジを含める必要があります。これより、各都道府県で許容できる日々陽性者数が算出できますから、それ以下に抑えるための対策が必要になります。 政府の対策は、右辺の感染者数の増加・減少は人流抑制だけに頼り、増加に備えて、左辺のベッド数を増やすことを求めています。ベッドを増やしても、医師・看護師が足らず、入院調整中の患者や自宅で亡くなる人が増えて、医療崩壊しました。すべての市民に行動自粛を求めるのではなく、陽性者を自宅・ホテル・病院に隔離して、陰性者だけが外に出るようにすれば、感染の拡大はほとんどなくなり、感染者数を極力減らせます。ワクチンの「感染しない・感染させない効果」が100%保証されれば、ワクチン接種者は自由に行動できますが、今のところ発症あるいは重症化予防の効果しか期待されておらず、その効果も現状では揺らいでおり、ワクチンパスポートは感染を広げる危険性すらあります。
 社会を機能させるためには、無料で各人週1回(外出しない人は少なくても良い)のPCR検査を行い、陽性者は自宅あるいはホテル・病院で隔離し、陰性者が次の1週間は自由に行動できることにすればよく、それこそ「ウイズコロナ」になると思います。 万が一のためにマスクなどの感染対策は必要でしょうが、市中の無症状感染者を極力減らせば、実質的には行動自粛はほぼ必要なくなります。また、陽性者に確実に自宅あるいはホテルなどで待機してもらうために、休業補償と生活支援を行うことも重要です。陽性者が市中を動き回ることをなくせば、新規感染者はそれほど多くなることはありませんから、市民生活が取り戻せるでしょう。行動自粛とワクチン一辺倒の政策から、すでに昨年春から一部専門家などが言われていたように、検査+隔離政策を今こそ取り入れるべきでしょう。

nice!(0) 

日本のコロナ対策は何故破綻したか [コロナについて]

日本のコロナ感染の第5波が、ピークを越え、感染者数が減少しつつあるように見えますが、現在のやり方だと感染者数が多くなると検査が追い付かず、無症状者をたくさん見逃すことになりますから、再拡大の危険性はぬぐい切れません。病気になった人はいつでも治療を受けられるように設計されていたはずの国民皆保険ですが、病院に入れず自宅に放置されたままで亡くなる方も増えており、コロナ対策は破綻し、医療体制が崩壊していると言わざるを得ません。昨年の春以来の政府の対応やメディアから発信される情報、ネット上にあふれる情報をみていると、その破綻の原因が見えてきます。
1.首相はじめ内閣中枢の科学リテラシー、解析力、論理的思考力の欠如: 端的な例が、7月に首相が「重症者の中の高齢者の割合が減っているからワクチンの効果が出ている」と色を成して記者会見で説明したことです。もともと、高齢者が重症化しやすく、高齢者の「重症者数を減らす」という政策だったはずです。その成果が出ているとして掲げたのが、「感染者の中の高齢重症者の割合が減っている」ということでした。この割合は、老齢の重症者数/全感染者数 ですから、この比が小さくなっても、必ずしも分子が小さくなったわけではありません。実際、第5波では分母が大きくなったからこの比が減っていたわけであり、菅首相、そしてそういう説明をした政府中枢の人が比の意味を理解していないことがはっきり示されました。メディアによくでる有名大学教授や専門家にも割合の意味が分かっていない人がおられます。コロナ感染状況を表すのに、様々な割合が用いられますが、その意味が理解できていないなら正しい対策は立てられないでしょう。
2.検査抑制派の偽情報に、政治家だけでなくメディア、市民もだまされた:昔から感染症対策の基本は、感染者と健常者を分離することでした。そのためにます感染者を隔離することが行われ、それでも収まらないときは人と人の接触を断つロックダウンが行われました。従来の感染症とは異なり、コロナ感染者は発症前(2日ほど)にも感染力を持ち、さらにまったく発症しない無症状者も感染力を持っています。したがって、発症者だけを手当てしても、感染は収まらないことになります。発症者だけに対策をすればよいのであれば、発症者がコロナかどうかの確認のための検査をするだけでよいでしょう。しかし、無症候の患者が感染させることを止めるためには、無症状者でも感染の可能性のある人を検査で見つけ出し、自己隔離をしてもらう必要があります。日本では1人の感染者を見つけ出すのに行われる検査数は5人から20人程度です。ニュージーランドや台湾など、収束させている国では、1人の陽性者を見つけるのに100人以上(数100人)の検査が行われています。オリンピック、パラリンピックでは、検査の有効性(PCRでなく抗原検査でも)に基づいた対策が採られました。一般の市民に対して同じ対策を採らない限り、収束はどんどん遅くなります。
3.ワクチン効果の過信:昨年の早い時期からワクチンがコロナ対策の切り札と政府が主張してきたにもかかわらず、ワクチンの確保、接種体制の構築が遅れていたために、大きな混乱を引き起こしています。今のコロナ感染症のウイルスは、2.で述べたような特徴を持ち、ワクチンの効果はそれらに対応する次の尺度で測る必要があり、さらにそれぞれの効果がどれだけ持続するかを見る必要があります(長期的影響が不明であることはここでは触れません)。
①予防率(感染しない効果)
②感染力抑止率(感染しても他の人にうつさない効果)
③発症抑止率(感染しても発症しない効果)
④重症化抑止率(発症しても重症化しない効果) 
現時点で政府は、重症化予防効果があると言う説明しかせず、他の効果についてはデータがほぼないのか全く言及がありません。コロナ感染を収束させるには、②の感染力抑止効果が最も重要ですが、そのデータがなければワクチンが感染を収束させるとは言えないのは当然です。そのデータ・情報があるなら専門家は公にすべきです。③,④の発症抑止と重症化抑止にしか効果がないなら、無症状感染者を作るのと同じ事になりますから、ワクチンパスポートの意味がなくなり、コロナ対策を根底から考え直す必要が生じます。
4.忖度研究者の暗躍:メディアに頻繁に出るようになった研究者のなかに、フェイクニュース対策がコロナ対策では必要だと主張しながら、政府の方針に沿ったフェイクニュースを流すグループが見られます。政府から支援を得ている御用学者のほかに、将来の利益を見越して政府や企業に忖度する意見をSNSなどを駆使して大量に発信し、世論を操ろうとしている忖度研究者が、政府の科学的根拠に基づく正しい判断を妨げているように見えます。このグループは、NHKや朝日新聞など大手メディアで取り上げられ、厚生労働省HPのQ&Aの解答を書いていたり、政府の対策を支援する意見ばかり発信していますので、政府がそのグループを支援していることを疑わせます。
5.人材育成を怠り、床依頼しかしない政策:感染者数が増えると、「ベッドの確保」が強く求められていましたが、ベッドがあっても医師、看護師がいなくて、ベッドを埋められない状態の町があります。挙句に、東京都知事は「自宅を病院と考えている」、菅首相は「自宅療養者すべてに連絡をとれるようにする」という極めて効率の悪い弥縫策のような対策を唱えています。医療体制の最も大切なことは、医療関係人材と医療機器の確保であるはずで、それを効率よく運用できる集中した臨時の医療施設が必要なことは昨年の春から分かっていたことです。「ベッドを増せば金を出す」という愚策ではなく、国が主導して臨時医療施設を開設し、開業医の人に週1日でも出ていただくような体制を構築できれば、医療体制のかなりの強化になるでしょう。
6.メディアの科学的思考力の低下:メデイアから発せられる情報に、多くの似非科学が含まれています。新聞/テレビの科学部記者の科学リテラシーの低下は、目を覆いたくなるだけでなく、市民の立場から言えば許しがたいものです。またメディアへの露出度で研究者が評価されるようになっており、科学研究そのものがゆがめられています。
 科学を理解し、論理的・合理的思考の出来る人が政権を担当され、メディアの科学力の向上を望みます。
 ついでに、東京都と日本の、9月2日までの感染状況を示しておきます。最近は減少傾向に見えますが、検査が十分にやられていず無症状感染者が野放しですので、今後の再拡大が懸念されます。

nice!(0)