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Mike Shlesinger のランダムウォークの本 [友人]

1980年頃から40年以上の友人であるMichael F Shlesinger が、ランダムウオークやフラクタルなどを中心とする自身の研究の路を辿りつつ、この分野の研究の発展のまとめと、その中での人々との出会いを綴った本"An Unbounded Experience in Random Walks with Applications" (World Scientific) を出版しました。P. G. de Gennes, P. Dirac, B. Mandelbrot, E. Montroll, H. Scher との出会いや、Levy Flight, Fractals, CTRW, Glass Transition などランダムウォークに関わる多岐のテーマが取り上げられ、この分野の辿ってきた路、現状と応用を纏めて知ることが出来ます。私との出会いのことにも触れられています。
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市中感染者は日々陽性者数の10倍!!分科会は大丈夫か? [コロナについて]

先日、分科会尾身会長から、「市中感染者数は日毎の陽性者数よりやや多いと思われる」という曖昧な発言がありましたが、知っていて隠しているのか、知るすべをもたないのか、大変不思議に思いました。コロナが日本に入ってきてから20ヶ月が経過し、日本や世界のデータから多くの知識が蓄積されています。これらの情報から、科学的・論理的思考というほどのこともなく、単純な割合の意味を利用して、様々な推定が行えます。
 コロナの感染者で発症する人の割合(x)は、~75%ということが分かっています。ある日に陽性者数がNであれば、その人達と同じ日に感染した人の総数(ここでは揺らぎを無視します)はN/x=(4/3)N, つまり陽性者数の1.33倍であり、その内無症状の人は((1-x)/x)N=(1/3)N だけいることになります。この人たち以外に市中には、それまでに感染して、無症状のままでなお感染させている人がいます。感染力が無くなるまでの期間(d1)の間の人は、N が余り変わらなかったとすると、d1*((1-x)/x)*N だけいることになります。この期間は、5~7日でしょうから、少ない方を用いると(5/3)N になります。さらに市中には、検査/隔離される前のある期間(d0) の間の感染力を持つ感染者がいます。その数はおよそd0*(4/3)*N と推定できます。この期間は3~7日程度でしょうから、小さい方を用いると、4N になります。両者を合わせると、4N+(5/3)N=(17/3)N~5.7N になります。d0, d1 として、長い方を用いると、その数は(35/3)N~11.7N となります。つまり、日々発表される陽性者数の6倍から12倍の感染力をもつ感染者が市中にいることになります。陽性者数が増加傾向にあるときや減少傾向にあるときは、少し値は変わりますが、やはり陽性者数の10倍前後の感染力を持つ市中感染者がいると考えてよいでしょう。この値は、昨年5月に発表した論文で示した推定値と一致しています。
 この考え方は、

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コロナ感染状況の分類法を提案した論文が公開 [研究]

出版社の対応が遅く遅れていましたが、須田礼二さんと共著の論文”Classification of the infection status of JCTR2021.jpgCOVID-19 in 190 countries”が公開されました。以下のサイトから自由に見られますので、Supplementary materialsも含めて、是非ご覧になって下さい。この論文で分析したのは2021年2月のデータですので、現在の状況はかなり変わっています。

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東京五輪と日本におけるCOVID-19 の爆発的拡大 [コロナについて]

国民の命と安全を最優先する
国民の命と安全を最優先する
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」
「国民の命と安全を最優先する」として開催された東京五輪が8日に閉幕し、日本におけるCOVID-19の爆発的な拡大を残しました。バッハIOC会長、小池東京都知事、菅首相、丸川大臣など開催を強行した人たちは、全く根拠なく五輪は感染拡大の原因ではないと主張しています。そもそも、五輪開催の総費用は、公表されている1兆7000億円の2倍ほどだと言われています。この費用が、コロナ対策に当てられていたならば、現在の医療崩壊を避けることはできたはずです。ただ、多額の補正予算を繰り越している政府には、対策がないのが悲しい現実ですが。
五輪に集った海外の方々とボランティア・開催関係者による影響はこれから顕在化してくるものと思われますが、五輪開催の感染拡大に対する影響を検討するには、日ごとの新規感染者数が、
新規感染者数 ∝ 未免疫者の割合×接触自粛しない人の割合×感染させる期間の減少率×ウイルスの感染力
で決まることに注意し、五輪開催がそれぞれの要素にどれだけ影響を与えたかをみなければなりません。
1)未免疫者の割合:五輪によりワクチンの打ち手が減少し、ワクチン接種に遅れが見られ、未免疫者の割合は期待するほど減少しなかった。
2)接触自粛しない人の割合:緊急事態宣言による人流の抑制は、前回ほど顕著でなかったというデータが報告されているが、単に自粛疲れだけでなく、五輪が開催されている中で、外出自粛をやる気がしなかった人が多かった。さらに、会場は無観客であっても、会場周辺に人が集まったり、集団でのビューイングが行われ、人々が接触する機会が増加していた。
3)感染させる期間の減少率:五輪の影響で、入院やホテル療養がかなり制限されて、家庭内感染が広がったこと、さらにPCRの検査の多くが五輪関係者に向けられ、無症状者を見つけ出して隔離出来なかったことから、有効感染期間が増大した。
4)ウイルスの感染力:現在はδ株が広がっているが、海外からの五輪関係者がλ株などの新たな株を持ち込んだ可能性があり、その効果は今後の感染状況を見ないと分からない。
このように、五輪の開催はどの要素をとっても、感染を増大させる効果しかなく、日本国内の感染の爆発的拡大に大きな影響を与えたものと考えられます。
五輪関係者でPCR陽性者は430人(内150人が海外在住者)であるという報告が出ました。海外からの入国者は42000人以上ということですから、ステージ2~3の状況であったことになります。帰国した海外関係者にコロナ感染が拡大しないことを祈ります。市民にはPCR検査は不要であると言い張ってきた政府が、五輪関係者には積極的にPCR検査を行うという真逆の政策をとったことは、PCR検査の有効性を認めたことでしょうから、同じ政策が市民に向けて行われることを望みます。

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「現代の物性物理学」(コーエン・ルイ著)の翻訳が出版されます [著作]

コロナの影響で遅れていましたコーエン・ルイ著「現代の物性物理学」(小田垣・吉留・大久保共訳、吉岡書店)が、完成しました。店頭に並ぶのは9月になりますが、吉岡書店からはすぐに購入できます。Amazon から予約も出来ます。
Cohen-Louie.jpgCohen-Louie2.jpg物性物理学の基本から、最新の理論的手法や低次元系の物性まで、詳細に説明されていますので、輪講の教科書として最適だと思います。

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日本のコロナ感染状況と医療提供体制の変更 [コロナについて]

日本全国の新規感染者数は、増加し続けています。次の図に示しますように、これまでにない増加傾向です。
東京都などでは入院率が20%以下になり、国民皆保険であるにもかかわらず、病気になっても医療を受けられない状態になっています。そんな中、政府は今後コロナ感染者は、重症者及び重症になりそうな人のみを入院治療し、他は自宅療養させることを決めました。小池知事が、「自宅も病院の一部だと考えている」という発言をしていました。そもそも病院は、数少ない医者で多くの患者を効率的に診るためにあるものです。個々の患者の自宅を訪問するのに、どれだけのお医者さんと時間が必要で、さらに緊急事態になったら搬送するだけの救急医療体制の構築には、さらにリソースが必要になるでしょう。昨年春に、ニューヨークなどで病院の廊下に置かれたベッドで治療を受ける人の姿がニュースで流れ、医療崩壊だと言われていました。しかし、廊下ででも治療を受けられる体制と、自宅にいて必要な治療を受けられない場合を比べれば、どちらが医療崩壊なのか自ずと分かるでしょう。中国のように臨時の病院を作ってでも、患者を集中させて治療を施す方がはるかに無駄の少ない医療体制になります。
首都圏の感染爆発は極めて深刻で、無症状感染者を野放しにしている対策の必然の帰結です。オリンピックのために使われているPCR検査を都民、市民に使っていれば、こんな事態にならなかったと考えられます。このまま同じペースで増加すると、上の右図に示すようにお盆の頃には1日2万人を越える新規感染者になることが予想されます。

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