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東京都のコロナ感染は爆発的状況 [コロナについて]

7月30日までの東京都のCOVID-19の感染状況を分析してみました。まず下図の左の図が、新規感染者数のフィッテングです。そのデータから作った感染状況図が真中の図です。これまでになく増減率が大きく、またなお増加傾向にあり、さらに新規感染者が増える方向にあります。7月28日のブログで示しましたように、新規感染者数のおよそ6~10倍の感染力を持つ感染者、つまり数万人の感染者(都民1000人の中に数人)が市中にいることになりますから、首相の「全力をあげる」という強い決意だけでは、爆発は抑えられないでしょう。オリンピックを今からでも中止するか、オリンピック会場以外でも人の集まりを禁止し、「1000人あたり数人いる感染者」を見つけ出して隔離しない限り、感染は爆発します。現在の傾向が8月中旬まで続くと、右の図に示すように6000人を超える新規感染者が出ることになります。すでに7000人以上の入院待機者がいて、医療崩壊が起こっていますが、さらに深刻になることが危惧されます。

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日本のコロナ対策と科学倫理・科学リテラシーについて [コロナについて]

今朝7月31日の朝日新聞朝刊に、驚くべき記事がありました。2面左側の中ほどに、菅首相周辺が、「官邸に楽観シナリオが集まるのは”首相がそういうデータを出せ”というからだ」と説明している、と書かれています。パンデミックへの対応には、科学的手法により現状を正確に分析し、科学的理論に基づいて予測を立て、最善の対策を実行することが必要であることは、言うまでもないことです。菅首相の発言が事実であり、周辺の研究者やシンクタンクがそれに沿ったデータや予測を提出しているならば、それはれっきとした研究不正で、研究倫理に反するものです。これまでも研究において、大きな予算を取った教授が、「このような結果になるはずだからそういうデータを出せ」と大学院生に求めて、データの改ざん、捏造が行われてきた研究不正が摘発され、研究者には研究倫理教育が求められています。官邸スタッフ、その周辺の研究者、シンクタンクには、研究倫理教育が必要でしょう。
また、政府中枢におられる方々の「科学リテラシーの欠如」「科学的な論理思考力の欠如」は目に余るものがあります。感染力を持つ感染者を隔離するために、検査が必要であることは、昨年3月頃からよく言われてきた科学的事実であり、世界中で実行されています。昨日、尾身分科会会長が「検査の拡充」を言われていましたが、その事実を理解するまでに1年以上かかったのは全く理解できません。科学的事実ではなく、別の基準に基づく判断をされていたとしか考えられません。第5波を早急に収束させ、安心できる社会を継続するためには、7月28日のブログで述べましたように、無症状な感染者を徹底的に発見・隔離する仕組みを作ることが必要です。

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無症状感染者数を推定する方法 [コロナについて]

日々報告されるデータの中の感染経路不明者の割合 f から、市中に存在する感染力もつ感染者N(無症状+発症前+隔離前発症者)の数を推定する理論的枠組みを作りました。基本的な仮定は、感染経路不明感染者=無症状者からの感染者、感染経路判明感染者=発症しているおよびいずれ発症する感染者からの感染者 です。保健所が頑張って調査し、人々が協力的であれば、それほど悪くない仮定と思います。感染力をもつようになってから隔離されるまでの日数を d、日々陽性者数をQとすると、N=Q*d/(1-f) が示されます。東京では f=50~60%ですから,d~3~4日程度とすると、市中で感染力を持つ感染者数は、日々陽性者数の6~10倍になります。現在のように日々陽性者数が増加傾向にある場合、その増加率を掛けた値になります。今日のように3177人の新規感染者の場合、市中には2~3万人の感染力を持つ無症状感染者がいることになります。この人達の75%くらいは発症しますが、25%くらいは発症せず、感染だけさせることになります。このように無症状感染者や発症前感染者を野放しにしていれば、いくら人流を抑えても感染の拡大は抑えられません。また、この理論の中で、ワクチンの効果よりも、PCR検査によって、広く無症状感染者を日々減らすことの方が効果的であることが示されます。論文はプレプリントサーバーからダウンロードできます。

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