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最近の感染状況と緊急事態宣言解除の条件 [コロナについて]

緊急事態宣言が10都府県で延長されたが、その解除の条件が曖昧である。分科会の定めたステージは、感染が拡大しているときに定められたものであり、新規感染者数が減少傾向にあるときの状態の的を得た分類にはなっていない。さらに、1月8日の厚生労働省の事務連絡により、全国的にPCR検査が重点的に行われる(無症状者や若い人の検査をしない)ようになっており、新規感染者数と実際の感染者数の差は大きくなっている。無症状者の検査は不必要であるとして、無症状者を感染者に含めないことは、安部前首相の言う「日本モデル」として、ずっと行われてきた(年明け前後はかなりの検査が行われたが)。アメリカのトランプ前大統領も「感染者数を少なくするためには検査を減らせば良い」という主旨の発言をしたこともあった。また、政府の様々の政策が利権がらみで決められているという情報もある。政府の抱える問題は、今夏のオリンピック、経済の再生や超高齢化社会のことであろうが、見かけ上の感染者数を減らしても、なんの対策にもならないだけでなく、市中の無症状感染者を増やして第4波を生じさせる原因となろう。強力な対策によってゼロコロナにしない限り感染者数が再度増加して波状の感染曲線となることは数理モデル(T. Odagaki:Scientific ReportsPreprint)が示す通りである。ワクチン接種が順調にいって、集団免疫が達成されるまでには、少なくとも半年、場合によっては1年以上かかる可能性がある。発症前の感染者や無症状の感染者が感染を広めることは既に知られた事実であり、そのような人を隔離しない限り、感染は収束しない。Odagaki, Suda の論文で示したように、感染の状況は9個(下左図)に分類される。政府のこれまでの対策では、左側に見える大きな三角形をぐるぐる回るだけである。収束させるためには、青色の破線で示すように、状態がS-2→ D-3 → C-4のように右下に向かう対策、すなわち下右図(感染者数の増減率を感染者数の関数と示した図)で言えば、増減率を負の状態に保ったまま、感染者数を限りなく少なくする対策が必要である。各自治体で許容できる新規感染者数は異なるが、数10人以下、あるいは一桁になるように、徹底したPCR検査が必要であろう。ニュージーランド、台湾などは、充実した検査で感染を抑えており、日本でも北九州市や、島根県、鳥取県、和歌山県などは徹底した検査により、感染者を抑えている。日本の現時点での感染状況は、第3波のS-2からD-3に向かっているところであり、宣言解除されるとS-4になり、その後市中の無症状感染者による感染が広がり、I-5 からI-1に向かって、第4波となる。GO TOキャンペーンなどは、その波の発生を早め、さらに波を大きくすることになる。D-3 からC-4に向かわせるには、行動自粛を続けつつ、徹底した検査・隔離による市中感染者をゼロにする対策が必要である。

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新型コロナに関する論文などの頁新設 [コロナについて]

新型コロナウイルス感染症について発信する情報が見つけやすくなるように、ホームページ上に「新型コロナ関連の論文と論考」の頁を作りました。御興味をお持ちの方は、ここからアクセスしてください。

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新規感染者数の怪 [コロナについて]

緊急事態宣言は延長されましたが、新規感染者数は1月中旬頃から急激に減っています。1月のピークは、検査結果の発表の仕方の人為的な効果だったように思えます。最近の急激な減少が市民の努力の結果であれば良いのですが、別の理由が考えられます。これまでクラスター対策などで無症状者もある程度検査されていたのですが、無症状者の検査を止めた自治体があり、全国的な検査数も減少傾向にあります。実際、厚生労働省の1月8日付の事務連絡は、「地域毎に疫学調査を柔軟に重点化する」事を求めています。下の左図に示しますように、陽性率は無症状者の検査の割合に余り依存しませんが、新規感染者数はその割合に大きく依存し、無症状者の検査を止めると一時的に感染者数が減少し、その数値に基づいて計算される実効再生産数が1より小さくなります。さらに、無症状者が完全な野放し状態になり、感染を広めますので、有症状の新規感染者や重症者を増やすことが懸念されます。日々の陽性者の中に、どれだけ無症状者がいるかを注視すべきでしょう。また先週「高齢者の陽性者の割合が増えている」という報道がありましたが、無症状の若者を検査していないことの結果かも知れません。新規観戦者数を少なく見せるこのからくりを、どのマスコミも取り上げないのが不思議です。
1月はじめの急激な増加は人為的なものだったようで、最近までの新規感染者数の傾向を合わせると上の右図のようになります。ただし、上で述べましたように最近の減少傾向も人為的なものである可能性が高く、いずれ増加に転じることが危惧されます。

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