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コロナ禍の大学入試について [オピニオン]

令和3年度入学者向け大学の入学者選抜は、共通試験が「大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト」に変更され、さらに民間英語試験の導入が取りやめになるなど混乱してきたが、さらに各大学ではコロナ禍で個別入試の実施に苦慮されている。そんな中、横浜国立大学では個別学力試験を実施しないという決断をされた。この決断を称えると共に、この困難な時機を千載一遇の時と考え、国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学協会、日本私立大学連盟が連携して、大学入試の抜本的な改革を行われることを期待している。各大学で行われている個別学力試験に費やされる教員/職員の労力は計り知れず、その労力が本来の教育/研究に向けられることを願うものである。

ブランダイス大学に在職していたときに、アメリカにおける大学の入学者選抜について、同僚の教員やアドミッションオフィスの職員に聞いたことがある。アメリカでは、20世紀の初頭、それまで行われていた個別の入学試験を止め、入学者選抜の標準化を目指して、12大学が共通試験を導入した。それが現在のSATとなり、その後ACTも導入され、何度かの改革が行われて、現在の個別の入学試験を行わない選抜方法に至っている。大学の入学者選抜は、「大学教育を受けるための準備ができているか否かに基づくべきであり、オリンピックのように緊張した状態の試験による競争で決めるべきではない」という考え方が基本になっている。

2006年神戸大学で行われたシンポジウム「理系AO入試を通じた高校と大学の接続」において基調講演「これからの科学者養成に期待すること」を行った。


横浜国立大学で行われるように、共通テスト、高校からの報告書、本人の志願書によって、選抜することが高等教育の教育改革に繋がることを論考するものである。多くの大学がこの方向の入試改革に取り組まれ、新たに導入された総合型選抜(旧AO入試)を拡充されることを期待している。

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