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何故隔離者を分けたモデルを考えるか? [コロナについて]

森田 直幸氏から「モデルにQを入れる意義」を問う本質的質問を頂きました。有り難うございました。

これまでのSIRモデルでは(5)式のみを考え、さらに隔離者を治癒者と同じように扱って、隔離率と治癒率を足したものを改めて除去率としたモデルです。専門家会議の資料(4月5日の記者団への説明)によれば、除去率は1/4.8 すなわち、感染者は平均5日で隔離または治癒すると仮定されています。

隔離者を明示的に分け、隔離者の項を分けて考える意義は次の4点です:

(1)隔離は人為的過程だからいわば政策依存であるが、治癒は薬などの別の因子できまる。政策を議論するためには分けておく方が便利である。

(2)治癒率(ウイルスを感染させなくなるまでの期間)はSIQRでは市中感染者のもののみが重要で、それを今の所薬(市販の薬)ではコントロールできない。

(3)現状では、データは日々隔離される人の数だけであり、それを(市中)感染者数と関係づける必要がある。

(4)一つの重要なパラメータは、隔離された感染者の治癒するまでの時間ではなく、(市中)感染者がウイルスをまき散らさなくなるまでの時間である。

以上から、現象を理解しやすくするためにQをいれ、物理モデルとしてSIQRモデルを提案しています。SIRモデルでは、日ごと陽性者の数から感染者全数を見積もるのは困難だと思います。SIQRは、現在は潜伏期間を無視した記憶効果のない平均場近似になっていますが、その導入は容易です。

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